ピアノスクールかなでのかなです。
「よくできた!」と満足そうに言うけれど、
音が抜けていたり、リズムがずれていたり、
レッスンでは前と同じところをまた注意することになる。
これは“できたつもり”になっている状態で、
ある程度の自信がついてきた子によく見られる時期です。
本人の中では精一杯弾いたつもりなので、
注意されると「なんで?」と納得できない表情になることもあります。
ただこれって、誰にでもあることなんですよね。
私自身、そういう「やったつもり」のまま練習していた時期が何度もあります。
できたかどうかの判断が、自分の感覚だけに頼っている状態。
つまり、音のズレやリズムの不安定さを自分の耳でまだ捉えきれていない。
レッスンでは、まずそのズレを自分で発見してもらうために、
録音して一緒に聴いてみたり、「今日どこを気をつけて弾いた?」と問いかけたりします。
“注意されて気づく”のではなく、“自分で気づく”ことが大きな転機になるからです。
それに気づかないと言うのはまず、音楽性が養われていないのでこっちがあーだこーだ言っても学びになりません。 音楽に興味を持ちたくさんの音楽を聞いて、音楽の良さを客観視できる力もが必要です。
とはいえ、それを意識させすぎてしまうと、
今度は「ダメなところ探し」ばかりになってしまう。
それも避けたいなと思っています。
だからレッスンの最後に注意点を振り返るときも、
できていたところをこちらから言うのではなく、あくまで注意点の中に自然に混ぜるようにしています。
たとえば「リズムはまだちょっと乱れてたけど、最後まで集中してたのはすごくよかったね」とか、
「強弱はまだこれからだけど、出そうとしてる感じが前より伝わってきた」など。
“できたつもり”は悪いことではなくて、
そこまで自分なりにがんばったという証拠でもある。
その気持ちをくじかずに、もう一歩上へ進むための声かけを、
いつも慎重に選んでいます。
かな